暗闇に男が1人たたずんでいる。

 「クククク、これが完成すれば第三新東京市を手中に収める事も容易にできるぞ!!」

 男の眼前にあるものは巨大な鉄の塊。

 彼は愛しげにその塊の表面をなでさすっていた。

 「Dr.キール、これが完成するのはいつ頃かね?」

 男は傍らにいる老人に尋ねた。

 「まあ、そうですな。二、三日のうちには試運転ができる段階までには...」

 「そうか、もうすぐか.....。もうすぐ第三新東京市がこの私の手に.....

 フフフフフフフ、ハハハハハハハハ!!!」

 男の高笑いは闇にこだましていった。また1人愚かな夢を抱いた者が 誕生した瞬間だった。

 


ち  「超機動魔法少女ASUKA」

      第1話「いきなりピンチ!!第三新東京市」

 


ゲームセンター「ノイラ」、ここは第三新東京市の学生達の心のオアシスである。

 そのノイラのゲームコーナーでひたすらモニターと格闘をしている少年が1人。

 彼の名前は碇シンジ、この辺りではそこそこ名の知れたゲーマーであった。

 「YouWin!!」

 派手なテロップがモニター上に表示された。どうやらまた1人挑戦者が

 彼の前に敗れ去ったようである。

 「フウ.....最近ここのゲーセンも骨のある挑戦者がいないな......」

 余裕の表情をうかべている。(実際に対戦やっていると非常にムカツクね、これ)

 「Here comes a New Challenger」

 モニター上に表示される文字、どうやら新しい挑戦者がきたようだ。

 「フン、新しい人が来たか.....一分で片付けるか.......」

 そう言って筐体のレバーを握る。

 そして一分後...................。

 ゲーム筐体の前に唖然とした表情のシンジがいた。

 モニターには「You Loose」の文字が浮かんでいる。

 「僕が負けた........?」

 頭の中が突然パニック状態になるシンジ。

 (逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ......対戦相手がどんな奴か見ておかないと)

 そんな事を念じながら向かい側の対戦台に回り込む。

 しかし、シンジはそこで更なる衝撃を受ける事となる。

 そこに座っていたのはシンジと同じぐらいの赤茶色い髪をした少女であった。

 「ガーン」とそんな音が聞こえてきそうなほどシンジはショックを受けた。

 「え.....おんなのこ?........僕は女の子に負けたというの?」

 少女がシンジに気づき彼の方向に振り向く、途端.....

 「ハ....ハハハ......」「ドタッ、」

 シンジは生気のない笑いを浮かべてその場に倒れこんだ。

 

 

 

 .......................

 

 ................

 

 .......ウン?.....ここは......どこだ.......?

 シンジの意識が次第に明けてきていた。

 「アンタ、気が付いた?」

 視界には少女の顔。どうやら自分は横になっていて上から少女に覗き込まれているらしい。

 「ん、待てよ。この体勢は.........」

 そう、後頭部に感じる柔らかな感触。シンジはいわゆる「膝枕」の

 状態で横になっていたのであった。

 「ウ、ウワーーーーーーー!!!!」

 大声を発しながら飛び起きる。

 (一体どうなってんだよ........気が付いたら女の子から膝枕.....

  あれ、今日の占いどうだったっけ?女性運は.......)

 即座に思考をめぐらせるシンジ。

 「あのさ........」

 後ろからスッカリ忘れ去られている少女がシンジに話し掛けた。

 「ひ、ヒャい!!なんでしょう!?」

 いきなり話し掛けられたのでとても焦っていて変な返事をする。

 シンジは女性にはあんまり免疫がないらしい。

 「気が....付いたわよね? 意識しっかりしている?」

 少女は怪訝そうな顔でシンジを見つめている。

 「はは.....なんとか........」

 「そう......よかったわね。じゃ、アタシはこれで」

 そう言って踵を返して去ろうとする少女。

 「あっ、ちょっと待ってよ。君が介抱していてくれていただろ?お茶でも

 お礼するよ。」

 「それって.......ナンパ?」

 「ち、ちがうよ。ただ純粋にお礼がしたくってさ....。」

 さらに少女が胡散臭そうな顔して見つめてくる、顔はだいぶ接近して鼻先

 10cmくらいのところまできている。遠目でみるとキスをしている恋人のようである。

 「フ〜ン、まあいいわ、どうせ暇だしね。」

 

 

 

 

 「ムーンバックス」........最近、若者の間で人気の喫茶店である。

 そこの二階の席に2人は腰を落ち着けていた。 

 「僕はの名前は碇シンジって言うんだ。君の名前は....?」

 シンジがガトーショコラをつついている少女に話し掛けた。

 「......昔、親に言われたわ。よく知らない人間に名前を教えてはいけません、てね。」

 「え〜、そりゃ、そうだけど........」

 そんなシンジの様子をみて「クスッ」と吹きだす少女、シンジの反応を楽しんでいるようだ

 「冗談よ、私は惣流アスカ。アスカでいいわよ。」

 アスカと名乗った少女がシンジの方を見てみるとすこしシンジは拗ねていた

 どうやら、自分がからかわれていたと分かって機嫌が悪くなったらしい

 「それより君、ゲーム強いね」

 シンジがこう切り返すと今度は逆にアスカの表情が曇る

 「あたしさ、昔から病気がちで外で遊ぶ機械とあんまなくてね。

 ついついTVゲームばかりやっていたらいつのまにか強くなっちゃたのよね......」

 アスカは口調は明るかったが、表情は暗いままである。

 シンジはまずい事を言ったかなと後悔した。

 「あ、あのさ.........」

 次の言葉を言ったのはシンジだった。

 「また、ノイラに来る..........かな?」

 「え?」

 「ほら、またゲームとか......対戦......したいしさ.......」

 なんだか顔が赤らんで、言葉の呂律が回っていない。

 あまり、女性と会話を交わした事がないシンジとしてはせいいっぱいのアプローチであった。

 「まあ、いいわ。明日も来てあげるわよ」

 そっけない返事をするアスカだが内心は遊び友達ができたことで大喜びであった。

 「じゃあ、またあした!!」

 「また明日ね。」

 2人は喫茶店をでてわかれた。

 

 

 

 

 「碇........シンジか........。」

 喫茶店からの帰り道を歩いているアスカ。今日、一日の 事を頭の中で回想していた。

 「あ〜あ、今日はいろいろな事があったわ。いきなり男からナンパされちゃうしね〜。

 まあ、明日から少しは暇つぶしができるかしらね。」

 そう言って微笑みを浮かべる。

 「ドゴォォォォォォーン!!!!」

 丁度その時であった、彼方から地面を揺るがすような爆音が聞こえてきたのは。

 「えっ!!ちょっとなんなのよ!?」

 音がした方向を向くと遠くのビル群に立っている巨大な影。たしかあのほうこうは都心部の方面、

 それは、ゲームセンター「ノイラ」がある方向であった。そこに巨大ロボットというべきなのだろうか

 大きな鉄の巨人が立っていたのである 

 「プルルルル」タイミングよく腰のポケットの携帯電話がなりだす

 「ハイ、もしもし」

 「アスカか?私だ」

 「パパ...........」

 電話の主はアスカの父親であった。

 「緊急事態だ、至急出動してくれ。」

 「了解」

 携帯をポケットにしまうと、腕につけていたブレスレット空に向かって高く掲げる

 「MMスーツインストール!!」

 アスカが叫ぶと同時に彼女の体が光に包まれる。

 ここで説明しよう!!(なんだか、昔のヒーロー物っぽく)

 アスカの腕に巻いているブレスレットは「アクセスリング」

 MMスーツ(モビルマジカルスーツ)という超物質の特殊スーツを

 瞬時に転送してリングの使用者にインストール(装備)させるための道具

 これをインストールする事によってアスカは「超機動魔法少女ASUKA」

 に変身するのである(ありがちな設定だけどあんまり突っ込まないで下さいね

 ちなみにアイテムの名称などはすごく適当に考え付きました)

 アスカを包む光がうすれていく、変身が完了したのだ 

 「さあ、いくわよ」

   

 

 

 

 

 都心部では相変わらず巨大ロボットが暴れている

 「フハハハハ、愚民ども、泣き喚け!!恐怖に怯えるのだ!!」

 その巨大ロボットのコックピットの中で馬鹿笑いをしている男

 彼の名前はストーン=ホワイト。第三新東京市を手中に収めるべく活動している

 秘密結「ネオゼーレ」の首領で、冒頭の文章にでてきた男である

 「フフフ、警察も自衛隊も無抵抗か?容易いものだな、この都市を制圧するのも」

 そのとき、巨大ロボットのモニターははるか前方の物体−人影をとらえた

 「ん、人間か?」

 巨大ロボットのまえに立ちはだかっているのは戦車でもなくパトカーでもなく

 1人の少年−碇シンジだった........

 「これ以上先には進ませないぞ!!」

 シンジが何故こんな無謀な事をしたのか?

 ロボットの進行方向にある建物、それは「ノイラ」がはいっている雑居ビル

 (ノイラが破壊されたら.......アスカに会えなくなってしまう)

 そんな思いが彼にこんな行動をとらせたのである

 「そこをどけ!!踏み潰されたいのか?」

 「いやだね!!絶対にどかない!!」

 「では、望みどおりに踏み潰してくれるわ!!」

 シンジの眼前にロボットの足が迫り来る

 「クッ」シンジは観念して目を閉じる

 「グシャッ」と音がしてシンジは踏み潰されるはずだった

 しかしいつまでたっても、そんな感覚が襲ってこない、代わりに

 ふわっと浮きわがる浮遊感

 「えっ?」

 シンジは恐る恐る眼を開けてみる

 巨大ロボットがはるか下方に見える、シンジは空を飛んでいた

 いや、正確にいうと少女が自分を抱いて空を飛んでいる

 少女は側にあるビルの屋上に降り立った

 「あ、あの君は.......?」

 「無茶しちゃって.......バカ......」

 「もしかして、アスカ..........?」

 そう、格好は変わっているがその少女は紛れもないアスカであった

 「ここは危険よ、とりあえず安全な所に避難していて」

 「だけど.....アスカは?」

 シンジが不安そうな顔をしてアスカを見つめる

 「まあ、アタシはやらなければならない事があるからね......。大丈夫よ、そんな顔をしないで」

 ふいにアスカがシンジに口づけをする

 「!!!」

 「約束、守ろうと思ったんだよね?ありがと.....」

 二人の間になんかイイ雰囲気が漂う、が

 「貴様ら、この私を無視するんじゃない!!」

 すっかり無視される形になったホワイトが痺れを切らして叫んだ

 アスカがロボットの方振り向く、さっきとは打って変わって厳しい表情をたたえている

 「よくも、シンジに酷い目に合わせたわね!!絶対許さないんだから!!」

 「何だと!?」

 アスカは跳躍し、一瞬にしてホワイトの視界から消えた。MMスーツを装備したアスカは超スピードで光速移動できるのだ

 「!!」

 「ここよ!」

 いつのまにかロボットの背後にまわったアスカがホワイトをあざ笑うかのように叫んだ

 「この!!私を愚弄する気か!?」

 口では強気な事をいっているが完全にアスカに翻弄されているホワイト

 完全にわれを忘れてがむしゃらにロボットの腕を振り回す

 (このパワー、まともに喰らったらしゃれにならないわね......)

 アスカといえど完全に優位に立ってるわけではない、いくらMMスーツを装備して

 強化されているとはいえ巨大な鉄の手が直撃したらひとたまりもない

 「おのれ、人を馬鹿にし腐って!!こうしてくれるわ!!」

 ホワイトは1つのボタンを押す

 「この皆殺しミサイルで辺り一帯を焦土と化してやる!!」

 ロボットの胸元が開閉しミサイルの弾頭が露わにされる。

 (まずいわ、あんな物を発射されたらたくさんの死者が出てしまう!!)

 「させない!!」

 急降下でロボットの手をかいくぐりミサイルの弾頭へ向かう

 「ミサイルに宿りし精霊よ、いまはその務めを辞めてしばしの休息につかんことを」

 呪文のような言葉を呟くアスカ。ここでまた解説しよう、アスカは「超機動

 魔法少女」といわれるだけあって、なんと魔法もつかえるのである

 そして今アスカが使用した魔法は”スピリットリンク”−あらゆる物質に宿っている

 精霊とコンタクトを持ち、命令を従わせてしまうのである

 そうとは知らないホワイトはまた高笑いを浮かべている 

 「フハハハハハハハ、自分の最後だと悟っておかしくなったか?だがもうおそい!!

 ミサイルの発射準備は完了した、自分の行いをあの世で後悔するのだな!!」

 そしてミサイルの発射ボタンを押すホワイト、彼の頭の中ではこの生意気な

 女ごと都心部一帯を消滅させるはずだった、が、しかし.........

 「なっ、なに!!!!」

 いくらボタンをおしてもミサイルは発射されなかった

 「無駄よ!!ミサイルの精霊にたのんでそのミサイルは発射されないように

 してもらったの...........さて、そろそろお仕置きをさせてもらうわよ」

 そういうとアスカの両手が光を放ち始めた

 「ま、待て.......話し合おう!!.....そうだ、ともに手を組んで第3新東京市を手中に収めようではないか!!」

 必殺兵器が封じられると分かると途端にホワイトは弱気になった

 「あいにくだけど、そういうの興味ないの..........喰らいなさい!!

 インフィニティブラスト!!」

 説明しよう、アスカの両腕には精霊機関といわれる装置が内蔵されている

 この装置は大気中のスピリットエネルギーを収集、圧縮する装置であり

 高密度に圧縮されたスピリットエネルギーを瞬時に解き放つ事により

 すさまじいパワーを発生させることができる。そしてこれを利用したワザが

 インフィニティブラストである。

 アスカの腕から発せられた七色に輝く光柱がロボットを貫く

 「おのれ!!覚えておけぇぇぇぇぇ−−−−−!!!」

 ロボットから射出されたボールのような物体。それはホワイトが乗っている

 脱出用ポッドであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕暮れにそまるビル群。そこのあるビルの屋上にシンジとアスカがいた。

 さっきから2人は黙ったままでである。シンジにしてみれば無理もないだろう

 自分と同年代の女の子が巨大なロボットに乗った悪党と戦っている....

 そんな非現実的な光景を目撃してしまったのだから.......

 アスカにしてもそんな自分の姿をシンジに目撃されてもしかしたら

 化け物扱いされるのではないかという恐れがありなにも切り出さないでいた

 「あ、あのさ」

 沈黙を破ったのはシンジだった

 「アスカ、君は一体.....何者なの?」

 シンジがうつむき加減で尋ねた

 「えっと......話すと長くなるんだけど........」

 「君は何故あんな力を使う事ができるの?」

 シンジ顔をあげて真摯な眼差しをアスカにそそぐ

 そんな視線に耐えられずつい視線をそらしてしまうアスカ

 「今は、説明できない」

 「そんな........」

 「だけど........いつか必ず全てを話すから、今はアタシを信じて!!」

 シンジを見据えるアスカ、その瞳には涙が浮かんでいた。

 シンジはシンジでしばらく考え込んでいたが

 「.........わかったよ。僕はアスカを信じる......だってアスカは僕をたすけてくれたしね

 それにアスカはこの町を守ったんだ、今はそのことが一番大事だね」

 「シンジ......有難う!!」

 そういってシンジに抱きつくアスカ

 「アスカ!!....泣いてるの?」

 「ホントはね、すごく怖かった。あたしが死んだらシンジに会えなくなっちゃうもの。

 そんなのすごく嫌だった。」

 「アスカ.........」

 シンジはそっとアスカを自分の腕で包み込んだ 

 あんな巨大ロボットと平気で渡り合えるアスカでもやはり普通の少女と

 なんら変わらないのである

 「アスカ、もう泣かないで。見てみなよ、あれがアスカがまもった町だよ」

 ビルの屋上からは町の灯りが一望できる

 「シンジ......」

 「ん?」

 「これからも......よろしくね」

 「ああ、こちらこそよろしく.......」

 そういって2人は微笑みあった。

 

 

 

 悪の野望はひとまず阻止された。しかしホワイトは再び復讐を狙って

 第三新東京市に襲撃を仕掛けてくるだろう、アスカの戦いの日々は

 またまだつづくのである。戦え!!超機動魔法少女ASUKA!!

 第三新東京市に真の平和が訪れるその日まで.........

 

 

 


 どうも、G−MAXです。さいごまでお付き合い有難うございました。

 今回は、登場人物とまちの名前が同じだけで設定等はまったくちがう

 パラレルワールドの話です。なんかノリ的にはヒーローもの+魔法少女

 といった感がありますね。けっこう好きなんですよ、こういう王道且つ熱いノリが

 まあ、SS二作目にして連載作品をかくなんて生意気な事をしていますが

 とりあえず応援の方宜しくお願いします。

 


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