最近、シンジはやけに機嫌がいい.........

 昔のようにウジウジしなくなったし、アタシが難癖つけても文句もいわない

 ま、シンジが単に前向きになったというのならアタシもここまで訝しがらない

 でも多分違う.......多分、これはアタシの直感だけど

 あの女が転校してきてからだと思う......霧島マナが........

 あの子が転校してきてからシンジは変わったと思う

 なんか.......気に食わない......

 たぶん長年コンビを組んでいたお笑いコンビの相方だけが売れ出したときの

 もう一方の方の気持ちってこんな感覚なんじゃないのかな?

 (ずいぶん、例えが親父くさいですって?ほっとけ!!)

 でもたとえるなら我ながらうまい例えよね

 さしずめアタシが突っ込みでシンジがボケの漫才コンビってところかしら

 そう、コンビよ、コンビ!!

 シンジなんかが恋愛対象?そんな風に考えてあいつを見たことなんて

 絶対に......なかったんだから!!

 なかっ.......たんだから.............


一番そばにいた君


 「アスカ〜!!そろそろ起きないと学校送れちゃうよ〜!!」

 .......台所から響いてくるあいつの声

 そんなに生きているのが楽しいのかしらと聞きたいくらいに生き生きした声

 昔のあいつはいつも他人の顔色うかがっておどおどしていたっけ?

 「うるさいわね〜、起きりゃいいんでしょ、起きりゃ!!」

 アタシはわざと機嫌が悪そうな口調で返事をしてやる

 たぶん、あのバカは鈍感だから気が付かないでしょうね、アタシが不機嫌なワケ

 自分でもなにやってんだろって思う、まるでシンジに嫉妬しているみたい

 まったく、あたしもなに考えてんだか...........

 

 

  

 

 学校へ行く途中の道、アイツの足取りは軽いみたい

 対照的にアタシの方は重い、シンジはとぼけた顔で「どうしたの?遅れちゃうよ」

 とか聞いてくるし、なんだか知らないけど憂鬱になる

 

 

 

 

 授業中、日本の授業なんて古ぼけてほこりがまみれているような昔の知識を

 無理矢理頭の中に入れ込もうとしているだけ非常に非生産的で退屈

 相変わらず老教師の昔話が続いている、誰も聞いてはいないのにね

 シンジはというと......能天気にあの女−マナとおしゃべりしている

 あんまり見たくない光景だったんですぐに目をそむける

 なんだか知らないけどあの光景を見ていると無性に腹が立つ

 シンジのくせに........生意気よ..........

 授業の内容は何も覚えていなかったと思う.........

 

 

 

 

 

 昼休み、ようやくアタシが羽根を伸ばせる時間

 「シンジ、アタシのお弁当は........」

 「ああ、お弁当ね。ハイ、これ」

 いつものようにシンジからお弁当を受け取る。最初の頃は鈴原たちに

 冷やかされていたっけ、もちろん拳1つで黙らせたけどね

 「シンジー」

 そこに人の神経を逆なでするような元気な声

 振り向くと霧島マナが立っていた。こちらの光景をじろじろとながめてくる

 「あれ〜、惣流さん、またシンジからお弁当?いい加減自分で作らないと

 シンジがかわいそうよ」

 シンジの事はもう名前で呼んでいるのにアタシは「惣流さん」

 会話の仕方1つをとっても、気に入らない

 「うるさいわね〜、アタシがシンジにお弁当作ってもらおうが何しようが

 こっちの勝ってでしょ?」

 「おお、怖い怖い!!シンジ〜、惣流さんがこわいから屋上行って

 一緒にお弁当食べましょ」

 そういってシンジの手をつかんで連れて行こうとするマナ

 「ちょっと、シンジをどこに連れて行く気なのよ?」

 「あれ、惣流さん、シンジのとはなんでもないんでしょ?じゃあ、どこに

 シンジを連れて行こうが関係ないじゃない」

 そう......アタシはシンジとはただの同居人の関係でしかない

 そのことを言われてしまうとアタシもそれ以上の事は言及できなくなって、だまってしまう

 結局その日はシンジはマナと昼食をとった

 アタシはヒカリたちといつものように食事を摂る、でもなんだろ?この感覚は

 大切なパズルのピースの一部がかけてしまったような感じがする

 なんだかその日のお弁当はとても味気なかったような気がした

 

 

 

 

 

 

 帰り際、アタシはいつものようにシンジたちと帰ろうと話し掛ける

 「シンジ、帰るわよ!!」

 「ゴメン、今日は先に帰っていてくれないかな?」

 「なんか用事があるの?」

 「マナ........霧島さんに呼ばれててね」

 「そう........」

 シンジが慌てて訂正していたが、アタシはシンジがマナの事を名前で

 呼んでいる事を知った

 アタシは結局1人で家に帰った、ヒカリに寄り道を誘われたが

 とてもそんな気分にはなれなかった

 

 

 

 

 

 

 アタシが家でくつろいでテレビを見ているとシンジが帰ってきた

 なんだかとても落ち着かない様子

 アタシは無関心を装った

 ホントは聞きたい事が山ほどあったんだけどね

 そんなこんなで食事を終えてくつろいでいるシンジとアタシ

 なるべくアタシは関係のない話をして極力マナと何があったか聞くのは避けようとした

 ただその話題について触れたのはシンジのほうからだった

 「あ、あのさ.........今日、マナから.....告白されたんだ」

 多分、アタシはその台詞を何よりも恐れていたんだと思う

 「それで......シンジは.....どうするの?」

 微妙に言葉が震えている事が分かった

 「うん、今日は返事はしなかったけど.......付き合ってみようかなって考えてる」

 「そう.....良かったじゃない......これでアンタも彼女持ちね」

 アタシは笑顔でそう返事をしているはずだった

 同居人に彼女が出来たんだもの、素直に祝ってやらなきゃいけないよね

 でも......なんだろ......目が濡れている......?

 ってことはアタシがないているの.....?

 「あ....れ....?おかしいわね.......」

 「アスカ.....?」

 アタシは自分がズルイと思う

 こんなにそばにいてシンジのことを言いように使っていた

 普段は冷たい態度で突き放すくせに

 いざという時はシンジに頼っていた、甘えていた

 だからかな、こんな風になってしまったのは.......

 「アスカ....一体どうしたのさ?」

 シンジがあたしの肩をつかむ、結構力強いんだね......

 「なんでもないの.......放っておいて」

 アタシはシンジの手を払いのけて自室に駆け込む

 ベットに倒れこんで枕で顔をおさえる

 泣いている顔をアイツに見られたくなかったから

 「アスカ、入るよ」

 シンジがあたしの後を追いかけて部屋に入ってくる

 「勝手に入ってこないでよ!!」

 アタシは枕や辺りにあった物を手当たり次第にシンジに向かって投げる

 物を投げる手をシンジにつかまれる、それでもアタシは手を振り解こうと暴れる

 2人の体勢がもつれてアタシはシンジにベッドに押し倒される格好になった

 「................」

 「................」

 辺りに漂うのは沈黙のみ、まるで世界が終わってしまったかのように完全な無音の世界

 ドクン、ドクン.....心臓の鼓動が早くなっているのが分かる

 ふいにアタシは目を閉じた。もう覚悟は出来ているから

 でも..........

 「ゴ、ゴメン!!......怪我しなかった!?」

 シンジは慌てて跳ね起きる

 シンジはアタシに何もしてこなかった

 「シンジのバカ!!意気地なし!!」

 なんだか悔しくてシンジに悪態を付いてしまった

 「アタシは、シンジがその気だったら.......その....良かったのに...」

 もう、アタシは自分に嘘をつくの事が限界みたいだった

 「マナより.....ずっと....何倍もアタシはアンタを見ていた

 ずっとアタシの方が一緒にいる時間が長かった、ずっと.......」

 ふいにシンジに抱きしめられた

 「アスカ.....ゴメン。アスカの事気が付かなくて」

 「アタシずるいでしょ.....?こんな形でしか自分の気持ちを言えないんだ

 軽蔑して.....いいよ。」

 「そんなことない.......」

 気が付くとアタシはシンジに唇を奪われていた

 再び瞳をとじるアタシ、この時が永遠に続けばいいと思った

 

 

 

 

 

 

 

 次の日からどうしたかって?

 シンジはマナに断りの返事をしたみたい

 マナはある程度予測はついたって言ってた

 シンジの視線の先にはいつもアタシがいたんだって

 そういう風にマナに指摘された

 そんな事に気が付かなかったのはあたし達二人だけだったのかもしれない

 いつもそばにいたからそこらへんは感覚が鈍くなっていたんだと思う

 その後シンジとはどうしたかって?

 まだシンジから正式な申し込みは来てはいない

 あの時はあんなに積極的だったのにね

 でも多分近いうちには..........そんな気がする

 どうしてわかるかですって?

 だって、一番近くにいるからに決まっているでしょ!!

 

 


どうもG−MAXです。どうでしたでしょう短編二作品目となりますが

今回の作品は。今回もまたくっつく直前で終わってしまっていますね。

一体いつになったら2人は結ばれるのでしょうか?

後、今回はマナがすごいやな奴として得かがれているような気が(ファンの人すいません)

まあ、最後で多少のフォローをしたつもりなんでご容赦を

とりあえずこんな感じでどんどん頑張ります。


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